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山口雅也 「ステーションの奥の奥」 [本]

私の好きな、かつて子どもだったあなたと少年少女のための「ミステリーランド」シリーズです。
山口雅也さんの作品は、3月7日にエントリーした、「play」が初めてでした。
しかし「play」は短編集でしたので、まだ本当のところはわかりません。
今回のミステリーランドの山口雅也さん、とっても面白かった。
かつて子どもだった私と、少年少女、共に楽しめます。特に男の子にとっては面白いかも。
ミステリーランドの中でもいい作品だと思います。

ステーションの奥の奥 

 

 

 



小学校6年生の陽太君が主人公です。そして夜之介叔父さん、途中から陽太君のガールフレンドが謎解きに参加します。
陽太君は、宿題の作文で吸血鬼になりたいなんて書いちゃいます。
ここから物語が進みます。
夏休みの自由研究で、大改修されてしまう東京駅を取り上げることにしました。
叔父さんと東京駅のステーションホテルに泊まって取材することになります。
ここが今回の作品の舞台です。
東京駅の知られざる場所を探索します。(叔父さんの友達が東京駅に勤めていて案内してもらいます)
ここら辺、本当? と思わせます。
でも最後に作者がコメントで「本書のそれは、作者の想像力による産物で...」と書いています。
吸血鬼の話が出ましたが、ドラキュラについてもいかにも存在していたかのように説明しています。
ドラキュラには、「鬼族」と「亜人族」がいること、すなわち人間を襲うか、共生するかの2種類のドラキュラがいること。
そして過去の歴史なんかも説明し、いかにも実在したかのように語ります。

ストーリーは、東京駅で、ホテルでと立て続けに2人が殺されます。謎、謎が示されます。

話の途中で、叔父さんが陽太君に恋愛について語ります。
「恋愛に《後悔》などという言葉はあり得ない。相手を好きになったあと、自分にとって辛い、相手の事実や実体を知ったとしても、なお愛するという覚悟-そういうのを本当の恋愛と言うんじゃないか。」なんて説明しますが、わかるかなぁ陽太君。

途中で、叔父さんが事件に巻き込まれてしまいます。話が急展開します。
ここから少しホラーの味付けが...
バラエティに富んでいて楽しませてくれます。

謎が明らかになっていきますが、大好きな叔父さんと別れることになります。
叔父さんが最後に「叔父さんが一つだけ言い残しておきたいことは、ともかく嫌というほどたくさん本を読めということだ。...」
これが、山口雅也さんの言いたいことじゃないのかなぁ。

あとがきにあたる「わたしが子どもだったころ」で山口さんは「江戸川乱歩の「暗黒星」とエラリー・クイーン、これらの二冊が今に至る私の途を決定したと言っていい。子供のころに出会った本が、容易に、人間一人の運命を変えてしまうのだ。」とも言ってます。

本当にミステリが好きなのですね。よく伝わってきます。
私も子供のときにこんな作品に出会っていたら、もっと早く本を読み始めていたでしょうね。
山口雅也さんの長編読まないといけません。


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