北原亞以子 「深川澪通り燈ともし頃」 [本]
6月21日にエントリーした北原亞以子さんの「深川澪通り木戸番小屋」シリーズの第2作です。
この作品は、長編です。中身が2部構成になっていますが、つながっています。
それぞれに主人公がいて、木戸番小屋の夫婦が絡んできます。
北原さんの小説は、第1作では淡々と話が進む感じでしたが、この作品は心の中まで入ってきます。
北原さんの場合はあまり書きすぎるとネタバレになりますので簡単に。
第1部は、政吉という若い頃は、チンピラだった人物が、有名な狂歌師にまでなりますが、いろいろな事が起こります。
最後まで決着が付きませんが、最後に政吉が思います。
ネタバレにはなりませんので、最後の2行「ここでどう区切りをつければよいのか。まだわからない。が、木戸番夫婦もうなずいてくれる方法が、きっとある筈だと思った。」
第2部は、ちょっと第1部の政吉の事がチラッと出てきます。
仕立て屋を営むお若が主人公、人も使って商売しています。綱七という情人もいますが、なかなか会うこともままなりません。一人の寂しさを感じます。またいろいろな事が起こります。
やはり最後の2行「燈灯し頃の中島町澪通りに、木戸番小屋の明りがまたたいている間は、お若も精いっぱい見栄を張っていられそうだった。」
主人公の2人は、行き詰ってどうしようもなくなると、木戸番小屋の夫婦の所へ行きます。
なにげない話をするだけで、元気を取り戻します。この夫婦が心の支えになっているんですね。
今回の作品もさらりと読んでしまいます。はらはらする所もありますが、最後はやはり人情ですね。うん、いいなぁ。
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