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浅田次郎 「蒼穹の昴」 [本]

やっと読み終わりました。

蒼穹の昴〈上〉蒼穹の昴〈下〉

 

 

 



まぁボリュームのあること。こんな長編を読みきった自分はエライ!
ボリュームといっても量だけではなく内容も濃い。
ちょっと長くなりますが。



一回読んだだけでは、読んだとは言えないでしょうね。
中国、清朝末期西太后の時代です。
話に平行して過去、清朝を確固たるものにした。乾隆皇帝と皇帝に仕えた、ジュゼッペ・カスティリオーネの話が出てきます。
「六十六」(「」内は第何章という感じです)でカスティリオーネが、
「神の作り給うた青空よりなお青い、蒼穹(あおぞら)にちがいありません。」と言うシーンがあります。
この作品のタイトルの意味が込められているのでしょうね。
主人公は、李春雲(春児)と梁文秀(史了)の二人です。
この二人が別々の道を歩きます。
だいたいこの物語、実際にあった部分と創作の部分が混ざっていますが、いかにも全てが本当に実在した物語のように思えてきます。

印象に残っているところを少し。
「四十六」の文秀と同期の王逸が故あって捕らえられてしまいます。
捕らえられた王逸を小梅という少女が懸命に身の回りのめんどうをみます。
耳の聞こえない小梅に王逸は、何もしてあげられないと嘆きますが、文字を教えます。
日がたちある日、騒ぎに乗じて小梅が逃げろと言います。
逃がしたことが分かれば小梅自身はもちろん、家族までが殺されます。
王逸は出来ないと言いますが、小梅は逃げてくれと懇願します。文字を教えてくれた王逸に感謝しているのです。
王逸は、何も出来ない自分を嘆きつつ逃げます。このシーン感動的で泣かされます。
王逸は、流浪の身となりますが、物語の最後の方で意外な人物と出会います。

「七十一」春児の妹、玲玲と許婚で文秀の同士の譚嗣同の二人のシーン。
二人の愛情が純粋に描かれます。
譚嗣同は、この後逃げずに捉えられ、広場に引き出され玲玲の目の前で斬首されます。

この作品、登場人物も多く、ゆっくりと読まないと流れがつかめなくなってしまいます。
私は、若い頃から本を読むということをあまりしてこなかったので尚更です。
でもこの作品、途中、途中で緊張感のある構成で飽きさせません。

最初に図書館で上下巻のを借りて来たのですが、延長しても読みきれず文庫版4分冊の4冊目を買ってしまいました。
面白いのが文庫についているシオリ、この作品の登場人物が書いてあります。
これって読む人のことを考えたいいアイデアですよね。

※PS
cocoさんいい本を紹介して頂きありがとうございました。やっと読み終わりました。

        


nice!(8)  コメント(16)  トラックバック(1) 
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コメント 16

あじゃあじゃ

浅田次郎さんの中国伝記(?)物、ちょっと想像がつかないですね~。最近故あって、中国の歴史を学んでいます。良いタイミングだったかもしれません。図書館にあれば読んでみようかしら?
by あじゃあじゃ (2007-09-02 20:57) 

マダム・リー

へぇ、面白そう。
武侠ドラマが好きで、最近は中国の覇王列伝
みたいなのも読んだりしてます。
図書館で探してみよう。
ただ長いのがなあ。
実家にいたころは通勤時間が長かったので長編物を
読む時間があったのですが、今は通勤時間が短い
から。。。
by マダム・リー (2007-09-02 21:18) 

ヒロノミン

 読了、おめでとうございます!?
2年ほど前に読んだのですが、ほとんど忘れてしまってます(汗)
西太后の描かれ方が、一般のイメージとかなり異なっていたのが印象に残っています。
by ヒロノミン (2007-09-02 22:39) 

e-g-g

いま、通勤時間がほとんど無いんですよ。
そうなると、長編どころか本そのものから遠ざかってしまいます。
就寝時に読むものも、三ページ、いや三行でスヤスヤ。
でも、この「蒼穹の昴」きっと面白いでしょうね〜
by e-g-g (2007-09-03 20:12) 

daland

>あじやあじゃさん
こんばんは。
nice!とコメントありがとうございます。
ちょうどいいタイミングです。ぜひ図書館で借りて読んでみてください。
買うのはもったいないのでぜひ図書館で。
面白くなければまたの機会にということで。
ただ読んでいると、どこまでが史実で創作なのか分からなくなってしまいます。(笑)
by daland (2007-09-03 21:35) 

daland

>リーさん
こんばんは。
この作品、リーさんが行ったばかりの中国の清朝末期の激動の時代です。
リーさんが期待している活劇は、ありませんよ。
あの「アチョー」っていうやつ。(違ったな)

通勤近くていいですね。(ちっ)
どうせ私ゃ千葉の山奥から通ってますから...。
by daland (2007-09-03 21:41) 

daland

>ヒロノミンVさん
nice!とコメントありがとうございます。
私も、あまりにも長いのでもう忘れ始めてます。
また読み始めても初めて読む感じがすると思います。

ヒロノミンVさんのおっしゃるように西太后は、悪いやっちゃという先入観があったので、戸惑いました。
作者は、かわいそうな人という視点で見ているのでしょうね。
女帝として国を治めることに疲れてしまった。清朝なんていうでかい国を治めて来たんだからと。

この作品での、主人公の一人かもしれませんね。
by daland (2007-09-03 21:51) 

daland

>xml_xslさん
nice!ありがとうございます。
by daland (2007-09-03 21:51) 

daland

>Krauseさん
nice!ありがとうございます。
by daland (2007-09-03 21:53) 

daland

>響さん
nice!ありがとうございます。
by daland (2007-09-03 21:53) 

daland

>eguchiさん
こんばんは。
nice!とコメントありがとうございます。
もしかしてeguchiさん通勤時間「0」ですか?
いいなぁ。羨ましい限りです。
私も電車の中で本を開いたとたん寝てしまうことが。
電車から降りてあれ?何してたんだろうと夢うつつの時があります。(笑)
by daland (2007-09-03 21:58) 

マダム・リー

「アチョーッ」はないのか・・・・
でもね、中国の歴史もの好きですよ。
ちょっとかたいけど井上靖が好きでよく読みました。
「天平の甍」と「蒼き狼」が特に好きでした。

通勤近くていいでしょ、ふふっ。
ずっと遠距離通勤だったので今の家に引っ越して
から6年になりますがいまだに幸せを感じます。
by マダム・リー (2007-09-03 22:32) 

coco

こんばんは♪

早速読んで頂いたんですね!
長編小説、お疲れ様でした。私は4巻の方を読みました。登場人物が常にシートでついているので読みやすかったです。
昨年中国から帰ってきて、その感動が薄れないうちに読んだ作品ですが、浅田次郎さんの知識と細部に行き届いた表現に感動しました。中国に行く前に読んだほうが良かったか…と思いましたが、行ってからの方が情景などが目に浮かび楽しく読めました。

清朝滅亡の原因の一つともいわれた「頤和園」は今は世界遺産ですが、市民の憩いの場ともなり沢山の人たちが中で歌を歌ったり、踊ったりと楽しんでいました。

私もヒロノミンVさんと一緒で西太后の印象が変りました。歴史の教科書でもかなりあくどい独裁政治を行ったということを習ったような…また、昔『西太后』という映画を観ましたが、そこではかなり残酷非道な彼女の生き様が描かれていたおり、この小説の中での西太后の女性として、人間としての迷いや不安などを持った姿は微塵も感じられませんでした。
この小説の中では科挙という試験の凄さや宦官の生生しい姿などちょっとビックリなどもありました。

色々問題のある今の中国ですが、歴史や文化など本当に素晴らしいものを持ち、また『医食同源』の国として私は是非早いうちに今の山積した問題をクリアにして欲しいと思っています。又訪れたい国です。

長々とすみません。
by coco (2007-09-04 18:03) 

daland

>cocoさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
「蒼穹の昴」ご紹介頂きありがとうございました。
読み応え十分でした。
一回だけでは読みきれておらず、いずれ読む機会がくると思います。
何回も読むことに耐えられる作品です。
それに私自身忘れっぽいので、また読んでも新鮮に感じられますね、きっと。(笑)

cocoさん、実際に舞台となった中国にいらっしゃったのですね。
尚更物語が近く感じるんですね。羨ましい限りです。

作品の中で、日本が近代国家として描かれていますが、そんなに清朝の末期は疲弊していたんでしょうか。

スケールの大きな作品でした。
cocoさん次はどの作品を紹介していただけますか?
by daland (2007-09-05 21:51) 

のすけの母

こんばんは。
西太后のお話なんですね。
興味大いにあります!!
いや、それよりCOCOさんご推奨だったら、「読まねば!!」と今密かに思っております。
dalandさんの文章や皆様のコメントをしっかり読むと、話の内容がわかってしまうので、申し訳ないですが斜め読みです。
いつか(いつかかよ!!←三村マサカズ調)読めたら、そのときにまたお邪魔します。
by のすけの母 (2007-09-05 22:44) 

daland

>のすけの母さん
こんばんは。
nice!とコメントありがとうございます。
そうですね。皆さんから頂いたコメントをまとめるとネタパレになってしまいますね。
主人公二人の話と平行して、西太后の話が続きます。
主人公の一人が西太后に絡んでいきます。
読書家の母さんなら絶対に楽しめると思います。

cocoさんに紹介していただいて、読み始めたのですが、すぐに止めようと思いました。
でも読んで良かったと思っています。
by daland (2007-09-06 22:30) 

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